失敗しないRFPの書き方3つのポイント。提案依頼書には何を書いて、どう使うべきなのか?

RFP blog

RFPの書き方がわからない
RFP、はじめて書くのだけれども大丈夫?
失敗しないためのRFPの書き方にコツはあるのでしょうか?

社内のプロジェクトの担当を任され、業務を外注することになり、適切な業者を選定し発注するためRFP(提案依頼書)を準備することになりましたが、RFP作成は初めての経験で、RFPの書き方がわかりません。

はじめてでも失敗しないRFPの書き方やコツは無いものでしょうか?

外部業者への委託は、数十万円から数千万円する場合があり、自社にとっても大きな投資とも言えます。しっかりとした業者に依頼し、求める結果を得るためにもRFPは重要です。

はじめてでも失敗しないRFPの書き方とは?

私は、海外の調査、コンサル会社に20年以上所属して日本企業から多くの調査プロジェクトやコンサルティングに関する仕事を受注してきました。このように、なんらかの案件を外部業者への委託の際に活用されるのがRFPですが、提案書を依頼される業者側にいた私は、RFPを作る発注側の方々より、より多くのRFPを見てきたと言えます。

多くのプロジェクトに携わってきましたが、プロジェクトがうまくいく場合とちょっとうまくいかなかった場合があります。

実は、プロジェクトが失敗してしまう理由の一つが「RFPの書き方」にあります。自社にとって、仕事を依頼することは、大事な投資とも言えます。その第一ステップの書類でもあるRFPは大切です。

もし、今までRFPを書いたことがない担当者の方でも、この記事で解説しているポイントを踏まえることで、失敗しないRFPを作成することが出来ます。

この記事では、RFPを書いたことがない担当者の方でもRFPの書き方を理解して、簡単にRFPを書くことができるように解説します。RFPを書く際の参考にして下さい。

本記事では、RFPの書き方で重要な以下3つのポイントを解説致します。

1.簡単に書けるRFPのポイント3つ
2.RFP作成、はじめてでも大丈夫な理由
3.失敗しないRFPの書き方のコツ3つ

1. 簡単に書けるRFPのポイント3つまとめました

① RFPに書く内容はこの5つ

RFPは、候補の業者が、プロポーザルや提案書を作成するための情報が記載されています。RFPには、以下の5つの項目が含まれています。

市場調査、コンサル、Web制作、ITのシステム発注など、様々な業務で活用されているRFPですが、業界、業種により増える項目や特長はありますが、これらの5つの項目はほぼどのようなRFPでも必要な項目です。

■ 依頼プロジェクトの背景
■ 達成したいゴール
■ 予算とスケジュール
■ 業者の選定条件
■ プロポーザルの提出期限と連絡先

依頼プロジェクトの背景

この依頼の案件であるプロジェクトがなぜ行われることになったのか背景を説明いたします。

自社のビジネスがどのような方向性を向いているのか、その方向性に対して、必要となった情報やシステム、購入するきっかけとなった内容を記載します。

現在自社が抱えている問題や課題を書くことで、次に書く目的がより理解できますので、自社が解決したい問題などを背景として書いても良いでしょう。

また、企業の紹介や部門での役割なども簡単に紹介していると、依頼された側も、より理解した上でプロポーザルの作成に取り掛かることができます。

達成したいゴール

達成したいゴールつまり「目的を明確に書く」ことがRFPの中ではもっとも重要です。

目的を明確に記載できない場合、依頼の案件が失敗する確率が大きくなってしまいます。

いかにして、目的を明確に書き、どの業者もこの案件で目指すゴールを理解してもらうための「コツ」は、後ほど書き方のコツ3つの中でも詳しく解説を致します。

予算とスケジュール

予算に関しては、現時点ではまだ相見積もりの段階ですので、詳細の記載は不要で、必ずしも記載する必要もありません。

調査案件やコンサルなどは方法論や調査の規模(規模が大きい方がより詳細な情報、分析が可能)によって価格が大きく変わってしまうので、超えてはいけないおおよその金額は伝えても良いでしょう。

スケジュールに関しても、詳細はこの時点では不要ですが、最終報告書や納品のタイミングは伝えたほうが良いでしょう。

納品がそのタイミングで不可能な場合、候補となった業者は無理をすることは出来ないので、この時点で正直に降りることでしょう。

業者の選定条件

発注するクライアントは、しっかりとした業者に仕事を依頼する必要があります。

また、いつも同じ業者への依頼ではなく、常に新しい業者にも声を掛けたいものです。その際に、重要なのが、この選定条件となります。

条件を厳しくして絞り込みすない程度で求められる条件を記載しましょう。例えば、システムの案件においては詳細に技術に関しての条件を記載する場合もあります。また、同じような案件や要望に対しての経験などの記載を求めても良いでしょう。

プロポーザルの提出期限と連絡先

最後に、事務的な必要なことは、しっかりと記載をしましょう。

担当者としての自分の連絡先や、プロポーザルの提出期限などはその中でも必須の項目です。
また、可能であれば発注先の決定予定日や、今後の予定などもあると便利です。

② テンプレートやフォーマットにこだわらなくて良い

実は、RFPには決まったフォーマットやテンプレートがあるわけではありません。

様々な書籍やブログでテンプレートが紹介されていますが、多くの場合、上記の5つの項目に従ってRFPを書いています。

格式高いRFPを書きたいと思ってしまうかもしれませんが、依頼された業者の方々が、同じ理解をして、プロポーザルを書くために必要な情報がしっかり書かれていればフォーマットはどのような形式でも問題はありません。

WORDやパワーポイントでテキストベースで作成してもOKです。
なお、RFPのサンプルが多く記載されている書籍をピックアップしました。ご参考までに。

※ RFP&提案書 完全マニュアル 改訂版
※ 事例で学ぶ RFP作成術実践マニュアル

③【最重要】とにかく目的を明確にする

RFPで最も重要なのが「目的を明確にすること」です。目標を明確にするということは、関係者のだれもが同じ目的をイメージし、理解することができるゴールを示すことです。

プロジェクトの目的を明確にすることで、社内の関係者と依頼業者の担当者全員が達成したい「同じ」ゴール、目標を目指して突き進んでいくことができます。

関係者の誰かが、違うゴールを目指してしまうと、最終結果が目指しているものではなくなってしまいます。RFPの書き方で最も重要なのが、目的を明確にすることです。

2. RFPの作成、はじめてで、経験がなくても大丈夫な理由

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RFPの作成がはじめてで、経験がなく不安な担当者もいらっしゃると思いますが、RFPの作成は、はじめてでも大丈夫ですのでご安心ください。

もしRFPの中で不明瞭な記載がある場合、RFPを送った業者の担当の方から質問が来ます。RFPは、だれでも最初はRFPを書いたことがありませんし、完璧なRFPを最初から作成する必要はないからです。

さらに、RFPを業者に送付した後でも、RFPを調整するタイミングはまだあるからです。

目的・ゴールが明確でなかった場合、RFPを受け取った業者は、提案書やプロポーザルをしっかりと書けません。

その場合、依頼した業者や担当者から質問が届きます。担当者の方は、その質問に回答をすることで、どの点が不明瞭であったのかがわかりますし、その都度RFPを修正することが出来ます。

RFPを書く機会は、特定の部門や業務に携わっていることが多く、部署の異動やプロジェクトの担当になったことではじめてRFPを書く事になった方も多いと言えます。

私がRFPを受け取る際も、多くの場合異なる担当者であることが多いです。そのため、しっかりとしたRFPでないケースは実は非常に多いです。

RFPの改善や修正はこのRFPの送付した時点ではまだ可能です。依頼した時点で完璧なRFPを作る必要はありません。次のコツの部分でも述べますが、修正点、改善点、追加点などがあった場合は、より良いRFPに変更をする機会とも言えます。

依頼したいプロジェクトの最初の段階でRFP作成はとても大事なプロセスであることから、経験がない担当がしっかりとRFPを書けるかどうかの不安は拭えないと思いますが、業者とのコミュニケーションでよりよいRFPを準備することが出来ますし、この段階では、RFPの修正や改善は可能です。

結論として、RFPを今まで書いたことが無い場合でもRFPの書くことは、問題ありません。RFPの書き方とコツをしっかりと踏まえて、RFPの作成に取り掛かってください。

3. 失敗しないRFPの書き方のコツ3つ

① RFPの目的を明確に書くためのテクニックとは?

RFPで最も重要なのが「目的を明確にすること」です。この部分があやふやになったり、不明瞭になってしまうことは絶対に避けましょう。

それでは、RFPで目的を明確に書くために、なにを意識して、どのように書けばよいのでしょうか?いくつかテクニックがありますので、ご紹介をします。

「〇〇したい」「〇〇を達成したい」という表現を意識

RFPのような社外の複数の業者に提出する書類なので、きれいに書きたいと思ってしまいます。この事が目的をわかりにくくしてしまう傾向があります。

格調高い文書にする必要は全くありません。シンプルな方法ですが、目的は箇条書きで書き、書き方も、「〇〇したい」「〇〇を達成したい」という表現を意識して書くことでわかりやすい目的にすることが出来ます。英文の場合ですと「I Want 〇〇」「I need 〇〇」という表現を意識することです。

第3者に意見を求める

新規の調査プロジェクトになった担当者はプロジェクトに関してRFPを準備します。

RFPが出来上がったら、社内のプロジェクトの関係ではない方に意見を求めるもの役に立ちます。

関係者でRFPを作成しますが、ときに視野が狭くなってしまう事があります。そのため、RFP作成の段階で一度関係者以外の方に意見を求めることで、より客観的に評価してもらうことが可能です。RFP全部とは言いませんが、目的の部分だけでも客観的な意見を第3者に意見を求めるものより明確な目的を作るための一つのテクニックと言えます。

SMARTゴールになっているか確認

ゴール設定の際に一般的に活用されているものでSMARTゴールという考え方がありますのでご紹介いたします。

このSMARTゴールは、個人や組織のゴール設定のメソッドとして幅広く活用されています。

以下の、SMARTのそれぞれの頭文字を用いることで、内容を思い出すことも出来ます。SMARTゴールを踏まえて目的を設定することで、何を、いつまでに達成したいかが正確に把握できます。

SMARTゴールは、関係者が明確に同じ方向に進み成功を支えます。このSMARTゴールの条件を満たすような目的を作るよう意識をしましょう。

■ SMARTゴール
S:Specific(具体的に)
M:Measurable(測ることができる)
A:Achievable(達成できる)
R:Related(やっていることに関係している)
T:Time-Bounded(時間に区切りのある)
参照:まさにスマート!目標を立てるときに役立つ「SMARTの法則/SMARTゴール」とは?

SMARTゴールに関して、あらゆる目的設定に活用されています。詳細を詳しく知りたい方はいくつかお薦めの書籍をご紹介いたします。

※ こじらせ仕事のトリセツ
※ 世界最高の子育てツール SMARTゴール 「全米最優秀女子高生」と母親が実践した目標達成の方法

② RFPミーティング・オリエテーションの実施

RFPを書いた後の作業にはなるのですが、このRFPを候補の業者にお願いしている時点でもRFPの修正、改善は可能です。

RFPミーティングの実施も失敗しないRFPの書き方の一つと言えます。2つめのコツは、RFPの内容を候補の業者の担当者に自身で説明をする「RFPミーティング」の実施です。業界によっては「オリエンテーション」と言っている場合もあります。

RFPミーティングとは?

RFPミーティングとは、RFPの内容説明をオンライン会議、もしくは対面でする説明をするミーティングの事です。

すべての業者に公平に実施しますので、時間はかかりますが、このミーテイングを候補の業者とするかしないかで、結果が大きく変わります。必ずしも対面は必須では無いので、海外の業者でも比較的簡単に調整できるはずです。

RFPミーティングとは、以下のことをさします。

■ RFPを提出したできるだけ早い段階ですべての業者にRFPの内容を説明するミーティングを実施する
RFPの内容で変更があれば速やかに変更し、すべての業者に伝える
■ 業者からの質問は、終了後にメールでまとめてもらっても良い。対面、オンラインいずれでも可

ほぼ同じ内容を、すべての業者に対して実施するRFPミーティングですので、時間がかかってしまう作業ですが、改めて自分でRFPを説明することで、新たな気づきがあったり、業者の担当者からの質問への対応で、内容の改善もすることが出来ます。

また、メールだけではわからない業者の担当者がどういった人なのか、わかることも今後発注作業に進む上で便利な情報と言えます。

失敗しないRFPを書くために、RFPミーティングは最終過程ですが、この段階での修正は十分に可能ですので、気付きや足りない部分は修正してより良いRFPにして次のステップに向かいましょう。なお、RFPミーティングを含めたRFPの活用に関して「RFPの意味を理解することで成功する提案依頼書に。RFPを無駄にしないための3つのミーティングとは?」で、解説しておりますので、併せてご活用ください。

③ 委託専門業者やベンダーへのRFP作成依頼も可能

調査の依頼業者が決まっている場合

依頼する業者が決定している場合は、RFPを依頼業者に作成してもらう事が可能です。

RFPは自社で作らなければならないのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、依頼先が決まっている場合は、業者と直接打ち合わ汗をしてRFPを作ってもらうこともよりよいRFPの書き方としておすすめします。

この際、プロジェクトの概要を予め準備をして共有します。この概要をベースにして、打ち合わせとメールでの確認作業を重ねる事で選定業社がRFPを作成してくれます。

調査の設計の前の段階での情報交換で自社の課題からゴール、方法論、期間と予算まで多くの調査に関する要素に関してデシカッション出来ますし、業者はプロジェクトの設計から携わることが出来ます。

RFP作成支援サービスの活用

業者への相見積もりの依頼した経験がない、もしくはすくない、場合によっては以前うまくいかなかった経験から、自社で作るのにちょっと自信が無い場合もあります。

そのような場合、外部の専門家へRFP作成委託という方法もあります。【調査調査・コンサル】RFP作成支援サポートを活用することで、発注する場合の不安を一つ取り除くことも活用できる一つの方法です。

このようなサービスでは、経験のある専門のコンサルタントがRFPの添削のみならず、RFP作成前の段階から相談にのってくれます。そのことで、より結果を出せるRFPを作成できます。とくに、はじめての発注であったり、海外のベンダーへの発注案件などは、経験のあるコンサルタントへの相談も有効です。

サービスの利用には、費用がかかりますが、失敗するリスクの軽減や、うまく言った時の価値を考えるとそれほどの大きな出費ではないかもしれません。

失敗しないRFPの書き方のまとめ

はじめてRFPを書く作業は、担当者にとって大変な作業と言えますが、どのようなことを記載するのか、書き方のコツを意識すること、そして業者の方にRFPを提出したタイミングでの修正が可能であることで、はじめてでも安心してRFPを書くことができます。

RFPとは、業務のゴール達成のためにベストな業者に仕事を発注するためにもとても重要なものであることが言えます。