MR活動とマーケティングに製薬DXをどう生かすのか?おすすめ製薬DXイベントとツール5選

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最近よく耳にする「製薬DX」だがMR活動やマーケティングにどう活用できるのか?
「製薬DX」が進んでいるが、単なるIT化で終わっているのでは?
MRのディテーリングに活動に活用できる「製薬DX」ツールはあるのか?

製薬DXという言葉をよく耳にします。たしかに、インターネットやスマホが普及して、アプリを通じてキャッシュレスなどだいぶ当たり前になってきていますが、製薬業界でデジタルの活用は進んでいるのでしょうか?

製薬DXとは、製薬業界におけるデジタルトランスフォーメーションのことをいいます。パンデミックにより、医師への訪問自体が通常通り出来ない期間が長期にわたり、このことで一層の製薬DXの普及に拍車をかかったと言えます。

私は、製薬会社向けに国内外の市場調査とコンサルティングに携わって20年以上の経験があります。特にここ10年間で業界内で新たに増えたプロジェクトや相談が製薬業界にとってのデジタルの活用です。今日は、実際に「製薬DX」の最近の動向を踏まえた上で、実際にこの「製薬DX」が、製薬会社と医師に価値を与えているのか?また、価値を生むためにはどのように「製薬DX」に取り組んでいけば良いのか?そして、効果のある「製薬DX」のためのツールはあるのか?といった点に焦点を当てて、「製薬DX」を解説していきたいと思います。

MRの活動支援やマーケティングでの活用が増えている「製薬DX」

MRのディテーリング活動での製薬DX

遅れていた製薬会社のデジタルがコロナで増加の傾向が顕著になっています。特にMRが医師に会えない中でもディテーリング活動をする必要がありこの外部要因が一気にデジタル化を進めることとなりました。

ここ数年で、数多くの製薬会社がMRの活動支援や医師・医療従事者とのコミュニケーションとして新たな製薬DXツールを導入し、ニュースでも取り上げられています。以下は、特に注目を集めた製薬DXツールの導入です。いくつかピックアップしました。

まだまだベストなツールを模索している最中であり、今後も、新たな製薬DXのツールの導入は進むものと考えられます。

製薬会社と医師、医療従事者を繋ぐオウンドメディア

 

バイエル社の医療従事者向けサイト「バイエル ファーマナビ」

製薬会社の多くがすでに自社の製品やサービスのために自社のホームページ、いわゆるオウンドメディアを立ち上げています。製薬会社が運用しているオウンドメディアとしては、以下の3種類があります。これらは、メディアが発信するコンテンツを届ける対象により運営方針や提供する情報も異なります。

■ 医療従事者向け
■ 患者向けコンテンツ
■ 疾病情報

製薬会社が、営業・マーケティングを目的として活用されるオウンドメディアは、この中でも医療従事者向けのコンテンツとなります。

各社が自社で運営する医療関係者向け情報サイトですが、,医療関係者の方に役立つ情報をいち届けることを目的として、一般の方とは違う医療関係者向けのコンテンツを提供しています。例えば、8月に最も訪問者数が多かったバイエル薬品のサイト「バイエルファーマナビ」では、以下のようなコンテンツを提供しています。

製品:製品基本情報、添付文書、利用ガイド、使用上の注意に関する解説、リスク管理計画書、剤形の写真、製品Q&Aなど
領域情報:バイエル社が保有する医薬品の領域に関する情報
Webカンファレンス:バイエル社が提供するWebカンファレンスがウエブ上で視聴可能。登録者IDとパスワードが必要
学会・セミナー:関連する学会やセミナーの情報と学会・セミナーへのリンク
医療アシスト:メディカルアフェアーズ活動情報、提供するデータとデータベースへのアクセス、地域活動など医療に関するサポート情報

また、それ以外にも医療関係者のみで、会員IDを必要とする啓発資材やイベント情報も提供しています。なお、同サイトには、毎月約20万の訪問者が訪れていますので、多くの医療従事者がこのサイトを通じて情報を得ていることがわかりますし、登録する医療従事者の個人情報を得られることは、MR活動やマーケティング活動でも有効に活用できる情報とも言えます。

Medinewによる2022年8月の医療従事者向けのオウンドメディアのトップ5です。数値は月間訪問者数でSimilarWeb のTotal Visitsを活用しています。

1位  バイエル薬品 バイエルファーマナビ 202,000
2位    大塚製薬 医療関係者向け情報サイト 177,294
3位    第一三共 Medical Community 143,787
4位    中外製薬 PLUS CHUGAI 136,223
5位    住友ファーマ 医療関係者向け 121,029

今回の投稿では、月間の訪問者のみのランキングの情報のみではございますが、Mediewでは、毎月継続的に19の製薬会社の統計をとっており、訪問者数に加え直帰率などでオウンドメディアの評価をしています。毎月のレポートも発行していますので、ご興味のある方はぜひご活用ください。

製薬DXをMR活動、マーケティングに活用するための最新情報を把握するには?

多くの動きがある製薬DXですが、製薬会社が製薬DXを効果的にMR活動とマーケティングに生かすには、常に製薬DXの動向をおさえることが重要です。コロナ禍の中では、製薬DXを活用せずには効果の高い営業・マーケティング活動が出来なかった製薬会社でした。そのため、医師や医療従事者もデジタルを活用せざるを得ませんでした。

今後コロナの影響が少なくなる中で、製薬会社と医療従事者はより効果の高い、使いやすいDXツールを選択し、より積極的に活用するようになります。

そのような状況に対応するためには、常に新しい情報、ツール、トレンドを把握する必要があります。製薬DXにかかわるベンダーやリサーチ会社が実施するセミナー・ウエビナーや最新情報を活用すること効果的です。

製薬DXに関してウエブメディアを活用

医薬情報ネットが運営するメディカルマーケティングマガジン「Medinew」では、定期的に製薬DXに関するイベントのまとめ記事を「医薬品マーケティングに関連があるセミナー&イベント一覧」を隔月ごとに投稿しています。
【Medinew】医薬品マーケティングに関連があるセミナー&イベント一覧 

製薬業界で幅広く読者をもつアンサーズニュースでも製薬DXに関して特集を組んでます。2020年9月から2021年6月まで10回にわたって「鼎談連載「DXの向こう側」を連載しています。この記事は、製薬DXに関してデロイト トーマツ コンサルティングのコンサルタントと議論しています。
※ 【AnswersNews】鼎談連載「DXの向こう側」【全記事まとめ】

製薬DXに関してセミナー・ウエビナーに参加する

実際に製薬DXに関する無料、有料のセミナーも開催されていますので、このようなイベントへの参加することで、専門家やベンダー、そして同じ製薬業界の方々との情報交換も出来ることは有効な情報獲得の手段です。
今後、実施される2つのイベントをお知らせいたします。

9月30日に、Medinewが主催する製薬DXに関してウエブコンファレンス「Digital Marketing Day 2023 」を開催します。このウエブ会議では、製薬企業の実務担当者やビジネス関係者が、具体的な事例やソリューションを紹介、連携が生み出す製薬DXの新たな価値を皆さまと考える講演が揃っています。

Medinew主催「Digital Marketing Day 2023」の詳細はこちら>>>

10月にはロイター社の「Pharma Japan 2023」が対面でウエスティ東京で実施される予定です。30以上の講演やパネルディスカッションなど製薬DXを議題とした有料ではありますが、大規模なイベントも実施されます。

ロイター社主催「Pharma Japan」の詳細はこちら>>>

「製薬DX」デジタルとリアルの融合が「価値」が生む

単なるIT化では製薬DXは価値を生めません。デジタルとリアルが融合したときにはじめて製薬DXが価値を生むと言えます。デジタルとは、ユーザーが「最高の体験」を提供するべきとの考え方があり、製薬DXも同様なことが言えます。

ネットやスマホの発達で、実際にやりたいことの多くのことがオンラインで出来る世界になっていますが、実際のリアルの世界も入ることでより良い「体験」をすることが出来、この体験がデジタルが生み出す価値に繋がります。

わかりやすい例を「ディズニーリゾートのアプリ」を挙げたいと思います。このアプリは、「宿泊施設」や「入場チケットの予約と購入」「パーク内の最新情報」「園内の全てのアトラクションとレストラン及びショーの予約や待ち時間が随時最新情報で表示」されます。

アプリの利便性のおかげで、ディズニーランドにいる私たちが「リアル」な世界で楽しむ機能が付いています。さらに、より個人が楽しめるような以下のような事も可能です。

■ アトラクション、レストランの予約時間が近づくと教えてくれる
■ 撮った写真をSNSで公式フィルターでデコレーション
■ ディズニーランド公式のアカウントで写真を紹介、拡散してくれる

スマホやネットといった「デジタル」を活用することで、「リアル」な世界で時間を有効にできたり、SNSで自分の写真が拡散されたたりといった顧客の満足度や顧客体験を最大限に高める取り組みがされています。

ディズニーランドに来ている人と、製薬会社がディテーリングをしている「医師」とは、デジタルの使い方が全く違うとおっしゃる人もいるかもしれません。確かに前者のユーザーは非常によくデジタルを活用する世代やグループに入りますが、多くの「医師」も、数年前以上にインターネットやSNSで非常に多くの情報を収集していることも確かです。

ましてや、コロナのパンデミックの中で、MRにとっては会えないディテーリング活動がより一般化しています。対象とする医師(顧客)が、「デジタル」によって出来る事が、実際に「リアル」な世界でも利便性や満足度として実感できたとき、この融合が製薬DXの価値を生むことができると考えます。

営業・マーケティング活動に活用できる製薬DXツールおすすめ5選

コロナが収束しても製薬会社にとってMRによるディテーリングやマーケティングにおいて、製薬DXの利用が衰えることはなさそうです。むしろ、コロナによる行動制限で活用に慣れたユーザーをはじめ、製薬DXの活用は更に増加していくものと思われます。

しかしながら、すべてのベンダーのソリューションが製薬会社やバイオテック企業、そして医師や医療従事者にとって強い支持を得られるというわけではなさそうです。

現に、医療従事者向けのサイトにおいては、常にランキング入りしている製薬会社のサイトがある一方で、アクセス的にもコンテンツ的にも競争力のないオウンドメディアは、求める結果を得ることは難しいでしょう。

そして、営業活動においては、面談ありきの商習慣が大きく変化、製薬DXによるディテーリングや講演会、マーケティングといった営業活動が当たり前になっている中で、製薬会社はより効果的な製薬DXを活用することが重要になります。

本日は、そのような中で、営業・マーケティング活動に活用できる製薬DXツールを5つ選んでご紹介したいと思います。

医薬情報ネットの「Doctorna ドクターナ」

医薬情報ネットは、医薬品マーケティング支援を25年提供、特に最近はデジタルマーケティングサポートを製薬会社に提供しています。ドクターナは、疾患名や症状、薬剤名などが設定したキーワードから、医師の学術活動を迅速に分析できるクラウドサービスです。

製薬会社のディテーリングやマーケティング活動にとってターゲットの医師のリスト化やランキング化は重要です。しかしながら、医師の属性情報の収集や分析、新たな情報にデータベースが追い付かないなど課題も大きく、属人的で、時間のかかる作業です。

ドクターナは、医薬情報ネットの保有するデータベース「学会情報データベース」と「論文情報データベース」と連携することで、医師28万人以上、日本国内の主要医学関連150学会、MEDLINEの海外論文50万報以上のデータを活用し、ターゲット医師のリスト化、ランキング化を効率よく実施することができます。

医薬情報ネットの「ドクターナ」の詳細情報はこちらから >>>

Jストリーム社の「WebinarAnalytics」

Jストリーム社は、年間で2,300件ものWeb講演会を請け負う業務をしており、コロナ禍で更に多くのWeb講演会の依頼を受けております。しかしながら、その一方で、医師は限られた時間の中でWeb講演会を選別していると考えています。つまり、製薬会社は、医師のニーズを踏まえたWeb講演会を企画・制作することが重要です。

「WebinarAnalytics」では、他社を含めた同一領域のWeb講演会平均スコア、開催Web講演会の領域別平均スコア、開催Web講演会ごとの配信スコアを活用し客観的な視点で評価することができます。自社で開催したWeb講演会ごとに集積した視聴者の行動データを定量分析し、講演会の改善につなげる機能を備えており、医師のニーズを正確に捉え、一人ひとりに最適な情報を、最適なタイミングで提供することが出来ます。

「WebinarAnalytics」の紹介サイトはこちら>>>

リープ社のスキルパレット

リープ社の「スキルパレット」は、AI技術を活用した情報提供品質を医師視点で評価・分析、MR個々の属性・組織に合わせた学習課題・学習方針の提案を通じてMRのディテーリング力を強化をします。

対話の論証力である「対話×思考」を、AIが解析、これまで客観的な評価が難しかった「対話」を、自然言語処理の技術を応用して動画や音声データから自動で解析し、十人十色と言われた対話の分類を容易にして、具体的な指導を可能にします。複雑な対話を人工知能技術で整理することにより、人では判断しにくいコミュニケーションの良し悪しや真の課題を導き出し、客観的で偏りのない指導を実現します

ペイシェント・セントリシティを実現する問題解決型ディテーリングをすることで、「患者中心のMR活動」をスローガンで終わらせない成果を生むためのMRのためのスキル学習プラットフォームを提供しています。「あるべき姿」と「現状」のギャップ分析による課題抽出と、教育工学に基づく学習方略(トレーニングプラン)でMR/MSLのパフォーマンス向上を支援します。

LEAP社の製薬企業向けのサービス概要はこちらから >>>

Flagelion社の「Shaperon(シャペロン)」

Flagelion社の「Shaperon(シャペロン)」を活用する事で、メール配信・添付資材管理が1つのツールで完結します。OutlookやGmailと連携し、、ール開封、添付資料の閲覧状況の確認や営業支援システムと連携することで医療従事者へのアクションの履歴も確認頂けます。

また、HP・オウンドメディアとの連携によるWeb関連データ、SFA・メール等の情報提供活動データなどを統合・解析。ターゲティングやセグメント分析等、AI/機械学習の活用によったプロモーションの高度化を実現します。

デジタルを活用したコミュニケーションの重要性は増していく一方、製薬業界ではメールプロモーションが十分に活用されていなかったため、工夫の余地が多くあります。また、これまでのメールプロモーションでは、自社で連絡先を保有する医療従事者にしかリーチできなかったもののShaperonでは、網羅的なメールプロモーションの実現が可能です。

Flagelion社の「Shaperon(シャペロン)」のサービス概要はこちらから>>>

ティーペック

ティーペックでは、医療有資格者が相談員となり、多くの患者やそのご家族の日常を30年以上にわたりご支援、健康・医療相談サービスを提供しています。患者中心(ペイシェント・セントリシティ)が叫ばれる中、製薬会社様では患者様に寄り添った施策が求められてきています。

実際にメディカルコンタクトセンターで患者様の相談に対応している「ヘルスカウンセラー(看護師)」から相談事例を蓄積し、看護師による「リアル」なサポートの役割や価値の情報は、例えば疾患の啓蒙活動のウエブサイトなどでも活用されています。

ティーペックの製薬会社向けサービス詳細はこちらから>>>