適切な業者を選定、発注を目的として、入札や相見積りをよく耳にします。このような入札や相見積りをする際に、提案書のリクエストの意味で「RFP」という言葉を聞くことがありますが、このRFPとは、どのようなものなのでしょうか?
私は、市場調査のコンサルタントとして製薬業界で20年以上の経験があります。市場調査の仕事を提案する側としてRFPを受け取る立場に長くいますが、製薬会社の市場調査の発注のお手伝いをすることもあります。その時にはRFPをどの様に活用すればうまくいくのか相談をよく受けます。市場調査の発注の際でも重要な書類が「RFP」です。
この記事では、業者に仕事をお願いする際に重要な書類である「RFP」とは何なのか?以下の5つのポイントでわかりやすく解説したいと思います。
1. RFPとは?
2. RFPをつかうメリットとは?
3. RFPを使わない場合に起こりうるリスクとは?
4. RFPに含まれる情報とは?
5. RFPを使う際の注意点とは?
Contents
- 1. RFPとは?
- 2. RFPをつかうメリットとは?
- 3. RFPを使わない場合に起こりうるリスクとは?
- 4. RFPに含まれる情報とは?
- 5. RFPを使う際の注意点とは?
- まとめ
- 「市場調査コンサルティング」サービスをご活用
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1. RFPとは?
RFPは、Request for Proposalの略で、提案依頼書と呼ばれる文書のことです。国や自治体、企業など業務の依頼者が、外部の事業者やベンダーに提供する「見積もり書や提案書の提出を求める文書」です。
RFPには、依頼したいプロジェクトの目的、スコープ、要件、期限、予算、品質基準など、必要な情報が含まれています。また、RFPは、潜在的な提携先との間で透明性と公平性を確保するためのものであり、提案書を提出するための規則と手順も記載されています。
RFPを受けた企業や個人は、自社の製品やサービスを提案し、入札や相見積りを通じての業務を受託する機会を得ます。一方RFPを準備、事業を依頼したい国や企業はRFPに基づいて提出された提案書から、最適な発注先を選定することができます。
2. RFPをつかうメリットとは?
RFPが重要な理由として、RFPに基き業務を発注したい側からの側面と、RFPを受け取り業務の提案をする業者側の両面で、以下のようなメリットが挙げられます。
まずは、RFPを作成し、入札、相見積りを通じて業務を発注する側のメリットとしては以下があります。
最適な提携先の選定
RFPを公募することで、多数の事業者から提案を受け取ることができます。これらの業者の提案内容は、RFPに記載される同一の基準で作成され、発注側は、その同じ条件のもとで提案書を比較、評価することができます。
これにより、条件や要望にあった業者最適な事業者を選定することができます。
コスト削減
RFPのメリットとして、適正な価格での提案を受けることができ、コスト削減につながるという点が挙げられます。
RFPを通じて、事業を請け負うベンダーの提案を比較検討することで、価格やコスト面での見積りの妥当性を判断することができます。
また、提案を出す企業側も、競合他社との価格競争を踏まえ、より適正な価格での提案をする必要があるため、競争力のある価格の提示を意識した提案となります。
これにより、コスト削減につながる提案を選択することができます。
リスク回避
RFPには、要件や品質基準が記載されており、依頼先がこれらを満たしているかどうかを確認することができ、提案内容の不適切さやリスクを回避することができます
RFPを活用することで、事業者の選定プロセスや提案内容が明確になるため、提案を受ける企業側も、複数の提案を比較検討し適切な業者への発注によりリスクの分散や回避策を検討することができます。
受け取る業者側にとってのRFPのメリットとは?
RFPに基づいて、提案書を作成することで、要望に適合した提案書をしっかりと作成できることがあげられます。RFPには、お客様の業務内容や課題が明確に記載されているため、提案書の作成もスムーズに出来ます。
RFPに記載されている条件や要件をしっかりと把握することは、提案する業者にとっては重要です。また、これらの内容をクリアすることが最低限の条件になりますので、これらを前提とした競争力をしっかりとアピールした提案書につなげることが出来ます。また、提案書の提出期限や提出先などが明確に記載されているため、スムーズな提案書の提出が可能です。
RFPを受け取ることは、入札や相見積りで他の業者も同じRFPを受け取って提案をしていることがわかります。競争力のある提案書を出すことによって、他社との提案内容の比較検討がしやすくなるため、自社の競合優位性を高めた提案により、受注の可能性が高まります。
業者は日々の営業活動の中で、RFPの前段階で業務の「相談」を受ける場合もありますが、これは、仕事の依頼があるかどうかはまだ不確定です。しかしながらRFPを受領するということは、発注側に業務の依頼する意思と予算があることが確定しているので、発注に向けた提案書に集中することも出来ます。
3. RFPを使わない場合に起こりうるリスクとは?
RFPを活用するメリットそれでは、仮にRFPを使わなかった場合に起こりうるリスクとはどういった物があるでしょうか?
RFPを使わずに業者選定をする場合に起こり得るリスクや問題点は以下の通りです。
適正な価格が確認できない
業者選定をする場合、複数の業者から見積もりを取ることが一般的です。しかし、見積もりの内容が不十分であったり、適正な価格を見極めることができない場合、契約後に予想外の追加費用が発生する可能性があります。
適切な業者を選べない
業者選定をする場合、業務の性格や要件に適した業者を選ぶことが重要です。しかし、RFPを使わずに選定を行うと、適切な業者を見落としたり、優れた業者との取引ができなくなる可能性があります。
契約内容が曖昧になる
RFPを使わない場合、提案書の内容がばらばらになり、契約内容が曖昧になることがあります。これにより、業務の進め方や品質基準について異なる解釈が生じ、契約の履行が困難になる可能性があります。
トラブルの発生
RFPを使わない場合、提供されるサービスや製品の品質に関する情報を明確にすることができないため、トラブルが発生するリスクが高くなります。また、トラブルが発生した場合に、契約書による訴訟を行うことができない可能性があります。
4. RFPに含まれる情報とは?
RFPに含まれる情報は、RFPを作成する企業や機関によって異なる場合があります。
RFPには、以下のような情報が含まれることがあります。
概要説明: 依頼するプロジェクトやサービスの概要説明や、要件などについての説明が含まれます。
提出物の詳細: 業者が提出する必要のある資料や提案書、見積もり書の詳細について説明されます。
納期や期限: 提出物の提出期限やプロジェクトの完了予定日など、スケジュールに関する詳細が記載されます。
契約条件: 提携する業者との契約条件や約款、特別な要件などが含まれることがあります。
評価基準: 業者の提出物を評価するための基準や、提出物の評価方法に関する詳細が記載されることがあります。
連絡先情報: RFPに関する問い合わせ先や、提出物の提出先などの連絡先情報が含まれることがあります。
仕様書: RFPには、業者に求める技術的な要件や、業務要件などが記載されることがあります。
RFPですが、これだという雛形はございませんが、RFPの書き方や雛形に関して、別途記事「市場調査むけ「RFPの書き方」とは?失敗しないためのポイント3つ」でも詳しく解説しています。
5. RFPを使う際の注意点とは?
RFPを使う際の注意点をいくつか紹介します。
目的を明確にする
RFPを作成する前に、どのような提案を求めるかを明確にすることが重要です。必要な機能や条件を洗い出し、細かく定義することで、提案書の質を上げることができます。
見積もりの提出期限を設定する
RFPには見積もりの提出期限を設定することが重要です。提出期限を守ることで、スケジュール管理がしやすくなります。
質問に対する回答を明確にする
RFPには、業者からの質問に対して、適切な回答を行うことが求められます。そのため、質問期限を設定し、回答内容を全ての業者に公平に開示することが必要です。
提案書の評価基準を明確にする
提案書の評価基準を明確にすることで、業者はどのような点に重点を置いて提案書を作成すべきかが分かります。また、提案書の評価方法も明確にしておくことで、公正な選定ができるようになります。
交渉をする
提案書の内容が不十分だった場合や、予算の問題などがある場合は、交渉を行うことが重要です。交渉により、双方が納得できるような契約を締結することができます。
放置しない
RFPを出したので、期限通りに業者からの提案書をただ単に待つという「放置」には気をつけましょう。
RFPを提出したあとの、質問への回答や、RFPの説明は非常に重要です。業者はRFPに記載されている内容に関する疑問や不明点を解決した上で、提案書をより適切に作成することができます。
提案書の提出前に提供業者からの質問に回答することで、不平等や偏りを回避し、より良い提案書を受け取ることが可能となります。そのため、RFPを出したら、適切なタイミングで説明会や質問回答の場を設け、提供業者からの質問に真摯に対応することが重要です。
しっかりとしたRFPを書くことと同時に、RFPを以下に効果的に活用するかも大切なポイントです。これらは「市場調査依頼を成功に導く3つのミーティング」として別途記事で詳しく解説をしてますので、併せてご活用ください。
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RFPに基づいた提案書で、価格だけで発注先を決めない
RFPに基づいた提案書が手元には複数部届くはずです。発注先を決める際に、価格だけで発注先を決めることは避けるべきと考えます。
提案書は、価格だけでなく、品質やサービス内容など、様々な要素を総合的に評価する必要があります。また、発注先として選ばれた業者との信頼関係を築くためにも、価格だけでなく、長期的な視点でのパートナーシップの構築が重要です。
発注先を選定する際には、価格だけでなく、企業の経営戦略や品質管理、サポート体制などを総合的に判断し、最適な発注先を選ぶことが重要です。
まとめ
RFPの重要性と役割、メリットから注意点に関して、説明を致しましたがいかがでしたでしょうか?
RFPとは、業務の依頼者が外部の事業者やベンダーに提供する「見積もり書や提案書の提出を求める文書」です。
RFPを活用することで、多数の事業者から提案を受け取ることができ、条件や要望にあった業者最適な事業者を選定することができます。また、価格面でもコスト削減につながる提案を選択することができます。
RFPを活用する際の注意点としては、目的を明確にし、見積もりの提出期限を設定し、質問に対する回答を明確にすることが求められます。また、RFPを出した後、提案書をただ待つだけではなく、質問に回答することや、RFPの説明会を開催することが重要です。提供業者は、RFPに記載されている内容について疑問や不明点がある場合、それを解決した上でより適切な提案書を作成することができます。
また、提案書の価格だけに注目して発注先を決定することは避けるべきです。提供業者が提示する価格だけでなく、その他の要素(品質、スキル、スケジュールなど)も考慮する必要があります。全体的なバランスを考慮した上で、最適な提案書を選択することが求められます。
「市場調査コンサルティング」サービスをご活用
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