世界の製薬市場は、技術革新や経済環境の変化により、常に変化し続けており、情報を追いかけることは容易なことではありません。そのため、製薬企業は、海外の製薬市場に関する最新の情報や動向、市場予測などをまとめた海外製薬市場調査レポートを活用することで、競合環境やニーズを正確に把握し、企業戦略の立案に役立てています。
そこで、20年以上にわたり海外の市場調査レポートを日本の製薬会社に提供、市場調査コンサルティングサービスを提供する前田静吾(@seigomaeda)が監修して、製薬会社向けの海外の市場調査やレポートの活用方法のを解説しています。
本記事では、海外の市場調査レポートを選ぶ際に重要な10のポイントについて解説しています。
海外の市場調査レポートは、英語をはじめとした外国語で書かれていること、馴染みのない調査会社が出版していること、そして価格も非常に高いこともあり、適切なレポートの選択は難しいと言えます。
本記事の「市場調査レポートの適切な選び方」を通じて、製薬会社の皆さまが海外の市場調査レポートを活用し、グローバル展開を支援し、成長戦略の実現につなげるお手伝いができれば幸いです。
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海外製薬市場調査レポートの選び方とポイント
1. レポートの信頼性を確認
製薬会社が海外の市場調査レポートを選ぶ際には、出版社の信頼性を確認することが重要です。信頼できる出版社から発行されたレポートは、正確な情報を提供してくれるため、企業の意思決定に大きな影響を与えることができます。
しかしながら、信頼性の低い出版社から発行されたレポートは、正確な情報を提供していない可能性があります。そのため、信頼できる出版社から発行されたレポートを選ぶことが重要です。
社内で購入歴がある場合は、同じ出版社のレポートを実際に活用した同僚に評価を聞くことが有効です。また、購買部や関連部署の方に相談することで、出版社の信頼性について迅速かつ正確に評価することができます。これらの手法を活用することで、製薬会社は正確な情報を得て、的確な意思決定を行うことができます。
2. レポートの内容が購入の目的に合致しているか確認
レポートを購入する前に、目的に沿った内容が含まれているかどうかを確認することが大切です。まず、達成したい目標や課題を箇条書きにまとめ、それに合致する内容がレポートに含まれているかを確認します。もし、社内での承認が必要であれば、この目的を部署内で共有することで、レポートの目的が明確になります。
さらに、RFP(提案依頼書)の形式で、目的や期待する方法論や調査方法を詳細に示すことも有効です。これにより、より具体的なレポートを入手することができます。
ここで、1つ方法として、すでに市場調査レポートもしくは調査会社の候補が決まっている場合は、調査会社に対して、達成したい目的を送って、レポートが答えられているかどうかを直接聞いてみる方法もあります。この場合、執筆したアナリストが回答をしてくれるケースが多く、確実に目的がカバーできるかどうかが確認できます。
購入後には、購入時に設定した目的とレポートの内容を照らし合わせ、目的が達成できたかどうかを確認することも重要です。これにより、今後の購入に役立つ知見を得ることができます。
※ 疾患の市場動向全般を把握したい場合はこちらの記事をチェック
>>>【1冊でOK】市場動向の調査作業を効率化するには?「疾患別包括的」レポートおすすめ3社ご紹介
3. 目次、テーブルでレポートの詳細度をチェック
レポートの詳細度をチェックすることは非常に重要です。必要な情報が適切な詳細度で提供されているかどうかを確認することで、より正確な情報を得ることができます。
例えば、あるレポートが特定疾患の市場を扱っている場合、その市場をカバーする地域や国、具体的な開発品や製品についての情報など、より詳細な情報を確認する必要があります。また、グラフや表などの情報がある場合には、それらの情報も詳細度の確認に役立ちます。
通常、レポート購入前にはテーブルやグラフのサンプルを閲覧できることがあります。これらの情報も詳細度のチェックに役立ちます。
また、レポートが提供する情報が最新かどうかも確認する必要があります。特に、市場調査の分野では情報が急速に変化することがありますので、レポートの発行日や調査期間を確認することが大切です。過去の情報に基づく判断を誤ることがないよう、常に最新の情報にアクセスできるように心がける必要があります。市場調査レポートは以前のようになかなか「みはからい」で事前のためしよみは難しくなっています。そのため、目次やサンプルページから以下のような情報を得て、目的に沿っているかどうかの判断が必要です。
調査範囲 | レポートがカバーする領域・疾患・テクノロジーや対象の国や地域が必要な情報を網羅しているか調べることが重要です。 |
調査手法 | 市場調査に使用された手法が記載されています。一次調査をしているのか?どのくらいのサンプル数の調査手法がとっているのかなど調査の手法をはっきりと確認することが重要です。 |
構成と形式 |
レポートがどのような構成で作成されているのかをしっかりと目次を見て確認しましょう。表やチャートのリストは構成から内容を判断するために有効です。また、ワード形式、パワーポイント形式、データベース形式など形式の確認は忘れずにしましょう。 |
価格と利用ライセンス | レポートの価格が記載されています。予算に応じたレポートを選ぶことが重要です。また海外の調査レポートは使うユーザーによって価格が大きく異なりますので、利用範囲にあった価格を参照しましょう。 |
発行日 |
新薬の上市、臨床試験の動向で市場は大きく変化します。そのためレポートの発行日はしっかりと把握しましょう。また、古いレポートの場合は、割引の交渉要素となります。 |
以上のように、レポートを選ぶためには、手間ではありますが、サンプル資料などから得られる情報をもってしっかりと候補のレポートを比較することが重要です。
4. レポートの価格を比較、相見積りをとる
レポートを適正価格で購入するためには、相見積りをすることも大切です。同じ内容のレポートでも、出版社によって価格が異なることがあります。そのため、同じような内容のレポートを複数の出版社から比較し、予算内で最もコストパフォーマンスの高いレポートを選ぶことができます。
相見積りをする際には、同じテーマで提供されるレポートを比較することが望ましいです。同じテーマや分野で提供されるレポートであれば、内容の比較が容易になります。また、同じ出版社から提供されるレポートでも、発行日が異なる場合がありますので、比較する前に発行日を確認することも大切です。
ただし、価格が低いからといって必ずしもコストパフォーマンスが良いとは限りません。レポートの品質や提供する情報の詳細度、提供する情報の信頼性なども比較する必要があります。また、レポートの価格だけでなく、付加価値サービスやサポート体制なども比較対象に加えることが重要です。
5. レポートの活用範囲を決める
社内でレポートを活用する範囲を決めることは重要です。海外の市場調査レポートでは、サイトライセンスによって価格や活用制限が異なるのが一般的だからです。
例えば、シングルサイトライセンスは、最も価格が安いものの一人の方のみが利用できる貢献です。一方、サイトライセンスは、日本国内のユーザー全員が活用できます。グローバルライセンスでは、世界中の従業員、場合によっては子会社を含む範囲で利用可能となります。
ライセンスの範囲内での印刷や共有が制限される設定されている場合があります。PDF形式での提供であっても、印刷や共有に制限がかけられる設定がある場合がありますので、提供形式と同様に、ライセンスも十分に確認することが大切です。
6. レポートの更新頻度の確認
レポートの更新頻度を確認することは重要です。市場情勢が常に変化しているため、最新の情報を得るためには、定期的に更新されているレポートを選ぶことが必要です。
最近は、データベースとして、最新のレポートを提供する形式のものもあります。この場合、原則として更新頻度はリアルタイムとなりますが、最新情報提供に重きを置く一方で、分析が浅くなりがちです。
例えば、分析のための1次調査は、実際に調査が必要ですが、そのような調査の頻度はリアルタイムではできません。
疾患に関する市場では、治験、承認申請、規制の変更など新たな情報が常にあります。そのため調査会社は、1〜2年に1回の割合で新たな調査レポートを発行します。2年以上前のレポートは扱っている情報自体が古いので、注意が必要です。
7. レポートの言語と翻訳ツールの活用
海外市場調査レポートは、英語をはじめとする多様な言語で提供されています。自社が求める情報が掲載されていても、その言語が理解できなければ意味がありません。
特に、日本企業が海外製薬市場調査レポートを利用する場合には、英語以外にもドイツ語やフランス語、中国語などの言語にも注目する必要があります。日本で海外の調査会社の代理店として1万点以上のレポート販売をするグローバルインフォメーション(GII)社は独自のサービスでAIを使った翻訳サービスもレポート購入者に提供しています。このようなツールを使って、海外発行のレポートの内容をしっかりと理解することが大切です。
8. サポート体制の確認
海外の市場調査レポートを利用する際には、発行会社がどのようなサポート体制を持っているかを確認することが重要です。サポート体制が整っていると、質問や不明点が生じた場合に迅速かつ丁寧に対応してくれるため、より効果的にレポートを活用することができます。
特に、大手の市場調査会社は日本に拠点を持っていることがあり、その場合は国内の窓口で日本語で対応してくれます。一方、拠点がない場合は、海外の本社や他のアジア地域のオフィスが対応することがあります。購入後のサポート体制がどうなっているかを確認するため、レポートの内容について質問できる電話番号やメールアドレスなどを確認しましょう。
9. サンプルページ、目次を入手する
レポートを購入する前には、サンプルとして一部を入手し、実際に読んでみることをおすすめします。これにより、自社のニーズに合致しているかを確認できます。レポート全文を読むことは難しいかもしれませんが、調査会社はサンプルや目次を提供してくれることが多いです。
さらに、レポートの内容について質問できる場合には、自社のニーズに合致するかを確認するためにも、積極的に質問してみることが重要です。実際にレポートを読んでみることで、自社にとって最適なレポートを選択することができます。
なお、レポートの選別から資料の請求までの作業は、市場調査レポート専門のコンサルティング会社に「お取り寄せ」の依頼をすることも可能です。
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10. 市場調査会社の日本での販売代理店を活用する
海外の市場調査レポートを提供している出版社は、大手から小規模な独立系まで、様々な調査会社が存在します。そのため、レポートを選ぶ前に、出版社の評判を調べ、信頼性の高い出版社からレポートを選ぶことが大切です。
現在は、ネットを通じて、ネット会議やEメールなどで比較的簡単に直接情報交換が可能ですが、新しい調査会社から市場調査レポートを購入することは躊躇されるかもしれません。
そのような場合は、日本での販売代理店を通じて購入の相談や購入をすることをおすすめします。たとえば、グローバルインフォメーション株式会社(GII)は、40年以上にわたり多くの海外調査会社の代理店として、世界の製薬会社をサポートしています。代理店を通じて相談することで、調査会社の評価や評判をしっかりと理解し、自社にとって適したレポートを購入することができます。
また、Insights4では、グローバルインフォメーション株式会社の取次店として、製薬会社の方々のレポート購入の相談や相見積り、お値段の交渉までサポートする無料の「市場調査レポート検索サービス」も提供しています。
製薬会社むけ海外の市場調査レポートの選び方のまとめ
海外製薬市場調査レポートは、ビジネス戦略の立案や市場分析において、非常に役立つ情報源です。適切なレポートを選択することで、企業は自社の業界や市場の現状を正確に把握し、ビジネスに生かすことができます。
レポートを選ぶ際には、信頼性、カバー範囲、詳細度、価格、提供形式、更新頻度、言語、出版社の評判、サポート体制、そしてレポートの実際の内容を確認することが大切です。出版社の評判を調べ、実際の内容についてはレポートの目次やサンプルページを確認しましょう。価格については、高額なレポートであっても必ずしも最適とは限らないため、自社に必要な情報を提供しているかどうかを重視することが大切です。
レポートに含まれる情報を分析し、自社にとって有用な洞察を得ることができます。海外製薬市場調査レポートは、ビジネスにおいて重要なツールの一つであり、適切な選択と活用が成功へのカギとなります。適切なレポートを選ぶことは、手段であり、レポートを実際に活用することが重要です。以上のポイントを参考に、有益なレポートを選択し、ビジネスに生かしてください。
おすすめのレポートを選んでくれる「レポート検索サービス」の活用
製薬会社の人にとって、通常の業務の合間に、レポートを選ぶことは時間的にも非常に負担です。
実は、そのような方々がつかっている「市場調査レポート検索サービス」をご存知ですか?
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