市場調査は、企業がビジネスを成功させるために欠かせない重要な戦略の一つです。市場調査により、企業は正確な情報を得ることができ、より的確な意思決定が可能になります。市場調査を行うことで、顧客や競合他社、市場トレンドなどの情報を得ることができますが、この記事では、以下のポイントで市場調査とはについて詳しく説明していきます。
※ 市場調査とは?
■ 市場調査の種類
■ 市場調査のメリット
■ 市場調査の手順
■ 製薬会社が市場調査を活用するその特徴は?
■ 海外の市場調査をする場合の特徴
■ 市場調査を外部の会社に依頼するときの注意点
■ よくある質問
私は、20年以上にわたり、外資系の市場調査で日本の製薬企業を中心として様々な市場調査のプロジェクトに携わってきました。市場調査は、企業の大切な意思決定に活用されますが、調査の目的や方法、調査対象となる市場をしっかりと明確にする必要があります。市場調査を外部の業者に依頼する場合は、適切な業者の選定や報告書の精度に注意する必要があります。
市場調査の種類
市場調査には、プライマリー調査とセカンダリー調査の2つの種類があります。
プライマリー調査は、直接対象となる市場や顧客にアンケート調査やインタビュー調査を行い、データを収集する方法です。一方、セカンダリー調査は、既に存在する情報源からデータを収集する方法です。例えば、業界レポートや統計データ、過去の調査結果などを利用します。
プライマリー調査には、定量調査と定性調査の2つの方法があります。定量調査は、数値データを中心に収集し、数値的な分析を行います。アンケート調査やサーベイ調査、実験調査などが代表的な方法です。一方、定性調査は、主に言語データを収集し、内容分析や質的な分析を行います。インタビュー調査やフォーカスグループ調査、観察調査などが代表的な方法です。
セカンダリー調査では、既存の情報源からデータを収集します。例えば、業界レポートや統計データ、過去の調査結果、インターネット上の情報などがあります。この方法は、情報収集の手間がかからず、比較的安価に調査結果を得ることができます。
それぞれの調査方法によって、収集できる情報や分析方法が異なります。企業の目的や調査の性格に合わせて、適切な調査方法を選択することが重要です。
市場調査のメリット
市場調査には様々なメリットがあります。以下では、市場調査のメリットについて詳しく説明します。
ビジネスの成功に繋がる情報を得られる
市場調査は、製品やサービスの開発や販売戦略を決定するために必要な情報を提供します。市場調査により、顧客のニーズや市場トレンド、競合情報を把握することができます。これにより、製品やサービスを顧客に適切に提供し、競合優位性を確保することができます。
新しい市場を見つけることができる
市場調査は、新しい市場を発見するための有用な手段です。調査により、新しい市場やニーズを発見し、製品やサービスを提供することができます。これにより、新しい収益源を開拓し、ビジネスの成長を促進することができます。
リスクを最小限に抑えることができる
市場調査により、ビジネス上のリスクを最小限に抑えることができます。例えば、市場調査を通じて、製品やサービスの需要が低いことが判明した場合、新しい商品を開発することを中止し、リソースを別のプロジェクトに振り向けることができます。
マーケティング戦略を改善することができる
市場調査は、マーケティング戦略を改善するために役立ちます。調査により、顧客が製品やサービスをどのように使用しているか、どのような問題を抱えているかなどを知ることができます。これにより、製品やサービスの改善やマーケティング戦略の変更を行うことができます。
ビジネスの意思決定を支援することができる
市場調査は、ビジネス上の意思決定を支援するために役立ちます。調査により、経営陣が正確な情報を得ることができ、より的確な意思決定が可能になります。これにより、ビジネスの成長や競争力強化など、成功につながる戦略を策定することができます。
たとえば、新商品を発売する場合には、調査により顧客のニーズや好みを正確に把握し、需要予測を行うことができます。
また、競合他社の商品やサービスを調査することで、自社の強みや改善点を明確にし、市場での差別化を図ることができます。市場調査を通じて得られた情報を元に、ビジネスの意思決定を適切に行うことで、企業の成長や競争力強化につながることが期待できます。
市場調査で投資効果を高めることができる
市場調査によって、企業は顧客や市場のニーズやトレンドを把握することができ、それに基づいて製品やサービスの開発や改善を行うことができます。これにより、市場での競争力が向上し、企業価値が高まることが期待されます。また、市場調査によって競合他社の動向を把握することもでき、自社の戦略や方向性を見直すことができるため、投資効果を高めることができます。
市場調査の手順
市場調査を外注する場合も、自社で行う場合も、以下のような手順で市場調査は行われます。
市場調査の際には、企業にとって機密事項の取り扱いをする場合もあるので、情報の活用にはすべての手順の中でも取り扱いが大切です。また、市場調査には準備期間も入れると多くの時間と多くの関係者が携わります。手順の中でも大切なのは「目的」をしっかりと明確にして、社内でも、外注先の調査会社の担当者とも共有することです。
目的の明確化:まず、調査の目的を明確にします。何を調査するのか、調査の範囲はどこまでか、などを明確にします。
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調査計画の立案:調査の計画を立てます。どのような調査方法を用いるのか、どのような人々を対象にするのか、などを決定します。
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質問状の作成:調査に用いる質問項目を作成します。開放式の質問か、選択式の質問か、などを決定します。
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サンプルの選定:調査を行う対象となる人々(サンプル)を選定します。このとき、対象者をランダムに選定することが重要です。
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調査の実施:質問紙を作成し、対象者に配布します。または、インタビューを行うなどの方法でデータを収集します。
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データの分析:収集したデータを集計し、分析を行います。このとき、統計解析ソフトウェアを用いることが一般的です。
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調査結果の報告:分析結果をまとめ、調査結果を報告書などの形でまとめます。報告書は、経営陣や関係者に報告され、意思決定に役立てられます。
以上が、一般的な市場調査の手順となります。なお、市場調査を外注するかしないかは、プロジェクトの初期段階で決めなければいけない判断です。以下の記事では、自社で市場調査をするときの「ヒント」を詳しく解説していますので、ご活用ください。
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市場調査の多様化
市場調査がさらに多様化しており、市場調査をする担当者は、これらの調査方法などを把握する必要があります。
従来は、電話、FAX、メールや実際に訪問をしてのアンケート調査やインタビュー調査が主流でした。現在これらの調査方法に加え、インターネット調査やSNS分析、データマイニング、AIによる自動分析など、様々な手法や技術を用いた調査が行われています。
これにより、より多角的かつ詳細な情報収集が可能になり、正確な市場動向や顧客ニーズを把握することができます。また、より迅速な情報収集や分析が可能となり、市場環境の変化に対する迅速な対応が可能になるという利点もあります。
例えば、インターネット調査では以下のようなメリットがあり、更に活用機会が増えると考えられます。
アクセスが容易である
ネット調査は、調査対象者がインターネットにアクセスできる場所ならどこでも回答できるため、アクセスが容易です。これにより、調査の対象範囲が広がり、多様な意見を収集できます。
高速かつリアルタイムに結果が得られる
ネット調査は、回答者が回答した結果が即座に集計されるため、高速かつリアルタイムに結果が得られます。これにより、迅速に市場の動向や顧客ニーズを把握でき、迅速な対応が可能になります。
精度が向上している
ネット調査は、回答者が自分のペースで回答できるため、回答の正確性が向上します。また、アンケートの質問項目に誤りがあった場合や漏れがあった場合にも、即座に修正することができます。これにより、正確な情報を得ることができ、より高精度な市場調査が可能になります。
市場調査の多様化による課題
市場調査の多様性による課題もあげられています。
正確性の問題があります。インターネット調査やSNS上の情報は、情報が不正確だったり、偏っていることがあります。そのため、正確な情報を得るためには、適切な調査手法と精度の高い分析が必要です。
適切なデータ収集方法の選択しなければなりません。手段は簡単になっても、適切な調査方法をしないことには、目的の結果を得ることができません。市場調査の多様性によって、適切な方法を選択できずに、意味のないデータや、客観性の無いデータを収集してしまう可能性があります。そのため、事前に調査目的や調査対象に合わせた適切なデータ収集方法を選択することが重要です。
データ分析の難しさがあげられます。多様な情報源から得られた大量のデータを分析する際、分析の方法や手法を選択することが難しい場合があります。そのため、分析の専門知識を持つ人材を配置するなど、適切な人材を確保する必要があります。
なお、ネットに関しての調査は、非常に注目を浴びています。以下の記事ではインターネット調査など最新の調査方法に関してもう少し詳しく解説していますので、ご利用ください。
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製薬会社がつかう市場調査の特徴は?
製薬会社が行う市場調査も、多くの場合、上記のような目的、手順、方法で実施されますが、業界特有の特徴がありますので、いくつか挙げたいと思います。
研究開発関連の市場調査
製薬会社は、研究開発を通じて製品を開発し、製品として患者に届けます。そのため、市場調査も研究開発関連のものが多いことが特徴です。
医薬品の研究開発には膨大な時間と経費がかかりますが、安全性や効能のクリアするといったハードルがあり、実際に医薬品として「承認」され、市場まででるものはごくごく僅かです。そのため、市場調査においても、この研究開発の特徴を踏まえた調査がおおく実施されます。
例えば、新しいメカニズムの開発品の市場調査の場合、実際にその開発品を「サンプル」として、評価することは出来ません。そのため、開発品とはどういったものなのかを詳細に、正確に記述する必要があります。
疾患や治療に関する専門知識が必要
製薬会社が扱う製品は医薬品であり、調査をする企業や担当者にとっては、医療に関する知識が必要不可欠です。そのため、市場調査においても、疾患や治療法に関する専門知識が必要とされます。
これは、製薬会社の担当者はもちろんですが、依頼をうける調査会社やコンサル企業にも同様に専門的な知識や実績が求められます。このことで、製薬業界においては、調査をすることができる調査会社が選定段階で限定されることもあります。
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機密性が重視される
製薬会社が開発する製品には、特許や独自の技術が多く含まれています。そのため、市場調査においても機密性が重要な課題となります。
海外の市場調査が多い
製薬会社はグローバル市場を対象に事業展開しており、市場調査もグローバルな視野で行われることが多いです。そのため、言語や文化、国ごとの既成の違いなどに対応できるようにする必要があります。
海外の市場調査を外部の会社に依頼するときの注意点
日本国内では多くの市場調査がありますが、海外の市場調査を外部の会社に依頼する際には、以下のような注意点に留意する必要があります。
信頼できる業者の選定
信頼できる、実績のある市場調査会社を選ぶことが重要です。業者の実績や評判、料金体系などを確認し、もし新しい業者への依頼を検討している場合には、複数の業者を比較検討することが最低限必要です。
海外市場の二次情報への信頼性
自社にとっていままで経験の無い新市場についての情報は、二次情報にも多く頼る必要があります。これらの二次情報の信頼性についても慎重にする必要があります。また、ローカルの業者にそのような調査を求める場合、調査内容や調査方法を明確にし、正確な情報収集を行うように指示することが重要です。
現地の情報と言語の問題
海外市場調査では、現地の言語に習熟した調査員や翻訳者が必要となる場合があります。調査の実施前に、業者と共に言語の問題について十分な打ち合わせを行うことが望ましいです。海外市場では、現地の文化や法律、規制状況などが日本と異なる場合があります。そのため、現地の情報やニュースを常にチェックし、調査内容に反映させることが重要です。
これらの注意点を踏まえ、信頼できる業者と共に、正確かつ効果的な市場調査を行うことが大切です。なお、海外の業者への依頼には英文で調査依頼書(RFP)を書く必要があります。以下のサイトでは、英文RFPの使い方と雛形のおすすめサイトを紹介しています。
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市場調査でよくある質問
Q. 市場調査の費用はどのくらいかかりますか?
→ 市場調査の費用は、調査内容や規模、方法によって異なります。一般的には数百万円から数千万円程度が目安とされています。
Q. 市場調査の期間はどのくらいですか?
→ 市場調査の期間も、調査内容や規模、方法によって異なります。数週間から数ヶ月程度が一般的ですが、より大規模な調査では数年に及ぶこともあります。
Q. 市場調査の精度はどの程度ですか?
→ 市場調査の精度は、調査の規模や方法、調査対象の選定などによって異なります。調査結果が完全に正確であることを保証することはできませんが、適切な方法や分析手法を用いることで高い精度を実現することができます。
Q. 市場調査結果を基にした戦略の立案はどうすればよいですか?
→ 市場調査結果を基にした戦略の立案には、専門的な知識や経験が必要です。市場調査を実施する会社やコンサルティングファームに依頼するか、自社で専門の担当者を配置することが一般的です。
Q. 市場調査はどのように行われますか?
→ 市場調査は、調査の目的や方法によって異なりますが、一般的にはアンケート調査やインタビュー調査、観察調査などがあります。また、近年はインターネットやSNSを活用したオンライン調査も一般的になっています。
市場調査とは?まとめ
市場調査は、ビジネスの成長や競争優位性を維持するために不可欠な活動です。
市場調査により、会社は意思決定に必要な情報を得ることができ、客観的な調査に基づいたより的確な意思決定が可能になります。
市場調査を行うためには、調査の目的や方法、調査対象となる市場や顧客層を明確にする必要があります。
また、市場調査を外部の業者に依頼する場合は、適切な業者の選定や報告書の精度に注意する必要があります。市場調査の結果を基にした戦略の立案は、調査結果の分析や要約に基づいて行うことが重要です。市場調査を活用することで、ビジネスの成長や競争優位性を維持することができます。
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