クラリベイト2023年引用栄誉賞23名発表|筑波大・柳沢氏、東大・片岡氏のノーベル賞に期待高まる

市場調査コンサルタントの前田@seigomaeda)です。毎年この時期になると今年のノーベル賞の受賞者はだれか?日本人での受賞はあるか?といったニュースが話題となります。私も気になりますが、果たして今年はどのような方々が、どのような実績で受賞するのでしょうか?

実は、ノーベル賞の発表の前にクラリベイト社が「引用栄誉賞」を発表しますが、この賞を受賞した科学者は、ノーベル賞の有力候補と見なされ、注目されているのをご存知ですか?

実際に、「引用栄誉賞」の中で「71名」がノーベル賞を受賞しています。その中には、山中伸弥氏(2012年、生理学・医学賞)、中村修二氏(2014年、物理学賞)、大隅良典氏(2016年、生理学・医学賞)、本庶佑氏(2018年、生理学・医学賞)もいます。

9月19日、クラリベイトが2023年の「引用栄誉賞」を発表、世界中から23名が発表されました。日本からは医学・生理学分野で筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史氏、化学分野で東京大学の片岡一則名誉教授が受賞、ノーベル賞候補者として期待が高まっています

この記事では、ノーベル賞の予測としても活用されるクラリベイト社の「引用栄誉賞」とはどのような情報ソースからどのように選別されているのかを説明、今年の受賞者である23名をリストでご紹介します。

この記事を読むことで、今秋のノーベル賞の受賞者が誰になるのか、ますます興味をもっていただけると嬉しいです。

クラリベイトの引用栄誉賞とは?

クラリベイト社(Clarivate)は、世界的な情報サービスプロバイダーであり、医療研究、知的財産、科学的情報に関連するデータ、情報、ソフトウェア、コンサルティングサービスを提供しています。

Cortellis(コルテリス): 医薬品の開発や承認、市場動向に関する情報を提供するプラットフォーム。
Web of Science(ウェブ・オブ・サイエンス): 医学、生命科学、化学、工学などの科学分野の研究文献や引用情報を収録したデータベース。「引用栄誉賞」のソースです。
Derwent Innovation(ダーウェント・イノベーション): 特許情報データベースであり、医薬品やバイオテクノロジー分野の特許情報を提供。
コンサルティングサービス: 製薬企業に対して、新薬の開発戦略や臨床試験戦略など様々なアドバイスを提供します。

クラリベイトの引用栄誉賞(Clarivate Citation Laureates)は、クラリベイト社(以前はトムソン・ロイターとしても知られていた)が毎年発表する、科学分野における顕著な業績を持つ研究者たちを称える賞です。この賞は、研究業績が注目され、多数引用されている研究者に贈られます

クラリベイトは、世界中の大学、研究機関、製薬会社などで幅広く活用されている論文のデータベース「Web of Science」を運用、このデータベースは、学術論文の引用情報を追跡することができるデータベースです。

この情報を活用し、研究者や研究グループがその分野で高い影響力を持つことを論文や著作物の「引用回数」で評価することができます。

1970年以降、5,800万本以上の論文や会議録を収録する「Web of Science」です。膨大な論文の数ですが、「2,000回以上の引用」がある論文は「8,700報」で「0.01%」です。クラリベイトの「引用栄誉賞」は、これらの被引用数が非常に高い研究論文およびその著者を特定、厳正な審査を通過して選出、表彰されます。選考プロセスは透明性があり、専門的な審査が行われるため、高い信頼性があります。

このノーベル賞の受賞者の候補者予測として話題となる「引用栄誉賞」は、全世界で活用されているクラリベイト社のデータベース「Web of Science」がソース元となっています。

※ ノーベル賞の予測にも活用されているクラリベイトのデータベース、サービスを使ってみませんか?
クラリベイトの製薬業界向けのサービス詳細をまとめています>>

クラリベイト社の2023年引用栄誉賞

生理学・医学

癌治療のためのキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T)を促進させる画期的な研究
For breakthrough research advancing chimeric antigen receptor T-cell therapy for the treatment of cancer

■ Carl H. June 氏 |ペンシルベニア大学(米国)
■ Steven A. Rosenberg 氏|アメリカ国立がん研究所(米国)
■ Michel Sadelain 氏| スローン・ケタリング記念がんセンター(米国)


人体の複雑な微生物生態系を明らかにする計算および実験的研究
For computational and experimental research revealing the complex microbial ecosystems of the human body

■ Rob Knight 氏|カリフォルニア大学サンディエゴ校(米国)


睡眠/覚醒の遺伝学的・生理学的研究、および重要な睡眠制御因子としてナルコレプシーの病因にも関与するオレキシンの発見
For genetic and physiological studies of the sleep/wake cycle and the discovery of hypocretin/orexin as important regulators of sleep involved in the cause of narcolepsy

■ Clifford B. Saper 氏|ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(米国) ハーバード大学メディカルスクール(米国)
■ Emmanuel Mignot 氏|スタンフォード大学(米国)
■ 柳沢 正史 氏|筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 機構長(日本)テキサス大学サウスウェスタン医学センター 客員教授(米国)

物理学

フォトニクス、プラズモニクス、メタサーフェスの先駆的研究と量子カスケードレーザーの発明と改良
For pioneering research on photonics, plasmonics, and metasurfaces, as well as contributions to the invention of and improvements on the quantum cascade laser

■Federico Capasso 氏|ハーバード大学(米国)


物質の自己組織化におけるエントロピーの役割の実証と、新素材を設計するための組織化プロセスを制御する戦略の導入
For demonstrating the role of entropy in the self-assembly of matter and for introducing strategies to control the assembly process to engineer new materials

■ Sharon C. Glotzer 氏|ミシガン大学(米国)


スピントロニクスの研究、特にデータ記憶密度を高めるためのレーストラック・メモリーの開発
For research on spintronics and specifically the development of racetrack memory for increased data storage density

■ Stuart S. P. Parkin氏|マックス・プランク研究所(ドイツ)マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク(ドイツ)

化学

合成生物学の分野の先駆けとなった合成遺伝子回路の先駆的研究
For pioneering work on synthetic gene circuits, which launched the field of synthetic biology

■ James J. Collins 氏|マサチューセッツ工科大学(米国)ハーバード大学(米国)
■ Michael Elowitz|カリフォルニア工科大学(米国)ハワード・ヒューズ医学研究所(米国)
■ Stanislas Leibler|ロックフェラー大学(米国)プリンストン高等研究所(米国)


生物学研究に革命をもたらした次世代DNAシーケンシング手法の共同発明
For the co-invention of next-generation DNA sequencing methodology that has revolutionized biological research

■ Shankar Balasubramanian 氏|ケンブリッジ大学(英国)
■ David Klenerman 氏|ケンブリッジ大学(英国)


革新的な薬剤および遺伝子のターゲティングおよびデリバリー手法の開発への貢献
For the development of innovative drug and gene targeting and delivery methods

■ 片岡 一則 氏|川崎市産業振興財団副理事長・ナノ医療イノベーションセンター センター長 (日本)東京大学 名誉教授 (日本)
■ Vladimir P. Torchilin氏|ノースイースタン大学(米国)
■ Karen L. Wooley氏|テキサスA&M大学(米国)

経済学

経済的機会の決定要因を理解し、社会的流動性を高めるための政策の特定
For understanding the determinants of economic opportunity and identifying policies to increase social mobility

■ Raj Chetty|ハーバード大学(米国)


都市経済と成長の原動力としての都市に関する分析と洞察
For penetrating analysis and insights on urban economics and the city as an engine of growth

■ Edward L. Glaeser|ハーバード大学(米国)


所得と富の不平等とその結果に関する研究
For research on income and wealth inequality and its consequences

■ Thomas Pikettyパリ・スクール・オブ・エコノミクス(フランス)
■ Emmanuel Saezカリフォルニア大学バークレー校(米国)
■ Gabriel Zucmanパリ・スクール・オブ・エコノミクス(フランス)高等師範学校(フランス)カリフォルニア大学バークレー校(米国)

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